2010年4月16日金曜日

随筆「ザの人」着眼者の皆様へ

現在、ザの人は、閉鎖も考えているという未確認ながら不穏な情報が流れております。しかし、現状回復の見込みが無い以上。ザの人閉鎖に備えて、HPおよび、ブログなどを持っている方。もしくはザの人閉鎖後に、新しいボヤキの場をすでに見つけているお方はコメント欄に一方を願いたい。ネット上の浅い付き合いとはいえ、皆様との繋がりを易々と断ち切るべきでは無いと思うのです。

2010年4月11日日曜日

第9地区

@名作

『食人族』は、名作であった。グロテスクな映像が多々あれど、文明人も蛮族と代わり無い残酷を欲する人間だと、たかが映画の分際で笑い飛ばした。今でも、『食人族』が低俗なグロ映画という票を数多く見受けるが、見当違いもはなはだしい。モンド映画でありながらモンド映画を否定し、モンド映画の全てが目指したリアリティーを完遂し、グロ映画を観に来た観客をも野蛮人と嘲笑してのけた史上最高のアングラ映画である。

本作はその『食人族』以来、量産された擬似ドキュメンタリーの手法を劇映画として見事に取り入れる事に成功している。冒頭で多用される擬似ドキュメントが後半には完全に劇映画の中に飲み込まれる事、そしてジャンルこそ、フィクションであることが大前提の宇宙SFものである事は『食人族』と全くの逆だが、観客を野蛮人と嘲笑してのけたのは、あの『食人族』以来の快挙である。

舞台をヨハネスブルグ。近年のネット上で無法地帯としてスポットを当たっているが、本作では少々異なった歴史を歩んでおり、宇宙浮浪者“エビ”たちの犯罪が加わる。

エビ達を取り巻く環境は過酷だ。差別と貧困にあえぎ、主な買い物先は、地球人の犯罪者。ヨハネスブルグの筋金入りの悪ばかりだ。エビたちもエビたちで団結して状況の打破などは行わず、バラバラのままダラダラと悪行に手を染めていく。

主人公の人間も人間で、宇宙人の卵を、潰して回る様は強烈な不快さだ。はっきりいって、差別主義者の典型で、口先では平等平和主義者でも、弱者に対して容赦が無い。というよりも興味が無いのだ。
「~だからどうしよう。~こうしよう。~明るい未来の為に。」本作はそんな事を言わない。
突きつけられるのは、ヨハネスブルの現状を面白半分に土人の作った犯罪都市とはやし立てる、人々の滑稽さだ。それは、かつてモンド映画の類で、土人の人食いを映画館で眺めていた人間たちと同じだろう。

少々捻くれた点にレビューを重視してしまったが、決して難しい映画じゃない。単純明快な残虐過激SFバイオレンスだ。主人公と宇宙人[クリストファー]は利害の一致だけで協力するが、戦いを通して、この異種にも心があると、お互いは悟るまでに成長する。
決してハッピーエンドとは言えないが、宇宙人[クリストファー]の逞しい人格の有様には、主人公のみならず、観客にも希望を見出せると思う。


4/23
ちょっと、このレビューひねくれすぎた。皮肉の利かせ方が『食人族』を彷彿とさせたの事実だが、実際は裏テーマであり、本質は宇宙人と地球人によるスラム街を舞台にしたバイオレンスアクション大作。終盤は30秒に一回ぐらいのペースでロボットによって人間がミンチになる。素敵。

碇シンジ育成計画

@評価外

元々がクソゲーとして有名な『碇シンジ育成計画』の漫画化であるが、内容はこれまたクソゲーとして有名な『鋼鉄のガールフレンド2nd』に近い。
その実態は『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターを流用したエロコメ。ラブコメなんて上等なものではない。
初期こそラブコメとしてストーリーと演出がなされているが悉く陳腐であり怒る気力すら失ってくる。
そうしてる内に、完全なエロコメに転換され、レイ・アスカらは身売りに等しい待遇。

とはいえ、画力が画力で、アスカ、シンジは公式でも認められているが、レイまで同じ顔なんだからだれがだれやら。

『いちご100%』や『オヤマ!菊之助』ならばそのコンセプトは明確だ。雑誌にお色気が欲しいという雑誌側と、漫画家の頭の良くない阿吽の呼吸でセクシーな絵を作っていく。評価などどうだっていい。平気のへいさ。
本作が連載されいるのは、かつて漫画版『新世紀エヴァンゲリオン』本編が掲載されていた月刊少年エース。『ハンターハンター』に並んで休載に事欠かない事で有名だが、どう考えても雑誌側の体質を問うべきだ。

「レイとアスカのマン筋描いたらもっと受けるんじゃね?」「レイとアスカのマンコに顔をうずめてぇなー」等という頭の悪い阿吽の呼吸がなされているのだろう。


おらならもっと面白いもの作れるわ!とTWITTERで好き勝手絶頂に書き込んだので以下抜粋

『碇シンジ強化計画』
シンジがミサト姐さんに「おねいちゃん?」、もしくは「ミサトさま!(ミネバさまの発音)ひいてはハマーンさまの為!」とか言って、常に暴走。


 『愛と幻想の碇シンジファシジム計画』
ケンスケとトウジが時田殺してJAつかってネルフを倒して、なんか日本の支配者になる計画。素敵。

 『進め!碇シンジ以下略』
ケンスケが暴れん坊天狗のコスプレしたり、第3話に出てきた老先生が使徒をチョークスリーパーで倒しまくるギャフン

『碇シンジクックロビン計画』
MI6のエージェント、美少年キラー・カヲル君が第一話からネルフに(主にシンジに)襲い掛かる!使徒は世界一かっこいいマリネラ国王子がおちょくる。

 『碇シンジ遊戯計画』
闇シンジきゅんにきゅんきゅん

 『碇シンジ挑戦状計画』
要するにゲンドウを机にめり込ませる計画

 『碇シンジ大往生計画』
汎用人型最強撲滅戦闘機エヴァンゲリオン初号機に乗って、碇シンジ、驚愕-PANIC-

 『碇シンジ改竄素敵計画』
光翼帝型残酷獄滅極戮至高完全鬼畜兵器全部塩沢 ^/|=-[] さまの後光にありがたや。
碇シンジ 浄化-KO-

『碇シンジ悪魔の実験計画』
アスカがボコボコにされた挙句、目玉を抉られる。あ、本編と一緒だ。

『碇シンジ血肉の華計画』
アスカが内臓を摘出される。あ、本編と一緒だ。

『碇シンジ戦慄!死なない計画』
アスカ「大腸がなくてもだいちょーぶ」あ、本編ry

『碇シンジ悪魔のお医者さん計画』
アスカが量産機を好き勝手嬲る。あ、ry

『碇シンジマンホールの人魚計画』
衰弱したアスカが全裸でバスタブry

『碇シンジノートルダムのアンドロイド計画』
アスカがシンジに殺されそうにry

『碇シンジLSD計画』
アスカが病院で廃人ry

『碇シンジえじき計画』
『碇シンジ燃える月計画』
『碇シンジチェーンソー大虐殺計画』
『碇シンジロマンティック計画』
ドイツのきちく四天王に笑いながら嬲り殺されまえ(主にアスカが)

2010年4月5日月曜日

サマーウォーズ

@凡作

*完全ネタバレ

細川守監督による『デジモンアドベンチャー・ぼくらのウォーゲーム』の実質的なセルフリメイク作品。
『デジモン』はインターネット内部(デジタルワールド)を舞台に、コンピューターウイルス(悪いデジモン)に主人公らがデジモンと共に立ち向かうという内容だが、アニメの後日談で、主人公たちはデジモンと別れ、デジモンワールドにはいない。
そこでパソコンを使って再びデジモンと戦う。
とにかくガキの時分に見ても、傑作と確信している。インターネットの描写は先駆的だったし、ネットの接続に四苦八苦する主人公たち、そしてスピーディーなバトルには大興奮だった。

で、今やインターネットは持ってて当たり前の時代。携帯電話が21世紀のスイスアーミーナイフ例えられる今ならリメイクのタイミングとしては完璧だった。

テーマは「団結」や「家族愛」といった所か?ネット社会でコミュニケーションの低下が叫ばれているが、ネット自体は肯定的に描いて、このテーマを維持した事は特筆に価する。解決法を現実で見つけすぎという、評価もあるが、大事件はネット内部で起こっている以上、ヒントを現実で得る事は問題は無い。

キャラクターは主人公が数学の天才である事以外少々、無難すぎるが、“普通の一家の家族愛”という事なのでこんなもんか。ただし、ヒロインが全くに印象に残らない。ラストでケモノのアバターで緋牡丹博徒をするが、その頃にはもうお前誰だっけ?状態。
まぁ、そりゃこんな喧しい一家ならインターネットあっても無くてもコミュニケーションの低下は起こらねぇよ!

しかし、大家族たちはかなりのエリートか名職人集団。不景気な時代を反映した普通の家族というよりは、完全に理想の大家族。普通じゃないよね。
おばあちゃんも、パソコンが解らんからアナログ方面で対抗するんだが、実はおばあちゃん、日本のフィクサーで、政界のお偉方に渇を入れる。

そんな影響力でネットとアナログを対比させるよりも、公務に携わる家族たちに応援するのでも十分だったと思うのだが・・・・・・
しかし、基本的には見ていて楽しい一家だ。愛に溢れている。


しかし、インターネット世界の設定は明らかに雑だった。
「OZ」という世界的な巨大なサイトを舞台としているが、その巨大さはもう普通にインターネット空間に置き換えても問題なかった。なぜなら、OZを運営してる会社などの描写は皆無であり、まるで不要な設定なのである。正味、冒頭の解説以降全く掘り下げられない

で、米軍がよりにもよって、コンピューターウイルス(正確には最新型のAI)をその大サイトにばら撒く訳。コンピューターウイルスの攻撃力を調べる為にだ。なんで自分の国の人間も大勢参加してるサイトにんなもんぶち込むんだよ!
米国が事実を闇に葬るためにOZを破壊したら幾分現実的だが、少々ブラック過ぎる。こんな映画には求めていない。

だから、整理して考えてみれば、OZは元々、米軍が開発したサイバーテロの演習地だったという設定にでもしておけば良かった。そうすれば、超巨大サイトでも、そこにAI兵器が入ってきても問題無い。実は、AIの作者は一家の一人で(こんな使い方されるとはしらず)終盤、有利に事を運べたのだが、過去のウイルスの集合体を吸収し手の付けられない状態だったら、後述のスペクタクルももう少し緊張感があったと思う

また、このAIはゲーム感覚でOZと世界を混乱させているとされているが、やることが少々、合理的過ぎる。ラストで原発に向けて無人探査船を落とそうというスペクタクがあるが、もし、無人探査船を最初から陣内家に落とそうとしていたら、“対戦相手”に絞られたゲーム感覚悪役として強烈だ。一つの家を破壊するためだけに無人探査船を落とそうとするという豪華絢爛作戦には狂気さえ垣間見えたろう。そんで原発なんて話を無理に大きくする必要も無い。

既にインフラ・交通の一部が大混乱で、そのせいで、お婆さんの治療も遅れて亡くなっている。
だから、最後のスペクタクルは後付けにしても雑すぎるし、本作では核爆発なんてブッラクな事が絶対起こらないファミリー映画という事を、ここまでの流れで解っている。なので緊張感に欠けた。


あと、この映画の真のヒロインはカズマきゅん

2010年4月4日日曜日

とられてたまるか!?/盗られてたまるか

『とられてたまるか!?』
@傑作

ファミリーコメディーとしてもブラックユーモアとしても低水準なのだが、武田鉄矢が最高に笑えると同時に応援したくなるという奇跡的な作品。

新興住宅街に一番乗りした唯野一家は、週一の頻度で明石屋さんま演じる泥棒の被害を受ける。
ところが、警備会社も警察も全員やってくるのは変人ばかり。(刑事が阿藤海というの凄すぎる)

とうとう泥棒にコケにされ、これではいかんと、一太郎(武田鉄矢)は家を改造。有刺鉄線に丸太を尖らせた柵を自作し、庭にはトラバサミをばらまき、玄関に堀をつくって二階にフォークリフトを設置ロケット花火の改造銃で泥棒を迎え撃つが、泥棒はカメラ付けたラジコンヘリでその様をみて失笑する。
「ここまでやるかぁ?」と明石屋さんま。

しかし、堀が夜間に凍結してしまい一太郎は、お気に入りの酒と日記を奪われてしまう。

とうとう一太郎は通信教育や古本で格闘技を研究。公園の遊具で肉体改造に励みだす。「気ィ!」と叫んで気孔で空き缶をひっくり返し、投げ縄でサボる部下の雑誌を引き裂き「さぁ。働こうかぁ?」などなど器用な技を身に付けていく。

さんちゃんはというと、本職はゲームのプログラマーの開発部長だが、企画がダブってお蔵入り。
急造で、趣味の泥棒の経験を生かして、泥棒が主人公のゲームを作っていく。
モチーフはもちろん唯野家。
半ばストーカー紛いに、さんちゃんは一太郎に電話をかける。
おちょくるさんまに一太郎は「おまえはぁ、俺の恋人だよ。」と、最高に男らしい宣戦布告。

双方、うだつの上がらないアラサー男児だったが。この映画史上最も無意味な戦いで、どんどんカッコいいおっさんに成長していく。

だがラストはひたすら笑うしかない。武田鉄矢は「家内安全」と書かれた赤い道着を纏って「おれはぁ!お前の命を頂く!」と明石屋さんまに絶叫。
明石屋さんまは、一太郎の最高の宝であるテレビを奪うために、フォークリフトで唯野家を破壊する。

もうものすごい。大好きな映画。

『盗られてたまるか』
@駄作
韓国製リメイク版。
原作の面白かった点である、駄目主人公VS駄目悪党の構図からオンリー1VSオンリー1の傍目にダサいが応援したくなる構図へと変貌していく様が無くなってしまっている。

というのも、泥棒役がソ・ジソプ。ゲーム製作で成功した大金持ちで、泥棒は本当に趣味でしか無くなっている。
パク・サンミョンのお父さんも、真面目に道場に通って本当に強くなってしまう。

それ以外は、いかんせん微妙な原作をただなぞるだけ。韓国映画らしく、回想などにエフェクトを多用するがだからなんですか?笑えませんよと。
笑えたのは、、新興住宅地のはずが、恐竜の遺跡が発掘されて、陸の孤島となっている家の解説と、土佐犬を買いに行く所。(変なところで親日的だ)

2010年4月1日木曜日

アバター

@凡作
@映像は凄いよ・・・
@でもやっぱ・・・凡作

*ストーリー
話の筋はまんまドルフ閣下の『レッド・スコルピオン』か『メン・オブ・ウォー』。

特殊部隊、敵陣に潜入→あろうことか敵に情を移す→お上に対して無謀な戦いを挑む

という俗に言う白人酋長もの。『ラスト・サムライ』などもこの部類に入る。
白人至上主義として一部の人間に好まれていない(誰とは云わんが)
しかしだ、キリスト教圏における多神教の存在の容認はともかくとして、その享受は長年に渡りタブーであった、そこで一概に白人至上主義と批判するのは如何なものか?
そういう訳で私は『レッド・スコルピオン』と『ラスト・サムライ』は堂々と好きな映画だと言い張っている。

でも『レッド・スコルピオン』か『メン・オブ・ウォー』でアカデミー賞は無謀だろう。
構想十年かけて『レッド・スコルピオン』から進化してないってのは痛すぎるだろう。
しかも3時間

*登場人物
『T4』でファンを量産したマーカス君ことサム・ワーシントンが、下半身不随の主人公を演じる。
シガニー・ウィバー演じる博士とミシェル・ロドリゲス演じる運び屋が本気を出したら、出番無さそうだが、宇宙人の培養体操るアバターによって、やんちゃしまくる。

ここまではいいが、軍上層部の体育会系気質はどうしたものか?体育会計つっても部活のノリ、ラグビー部あたり。向こうじゃアメフト部か?
アンチ体育会系にしても稚拙すぎる。なんて言ったらいいか3時間かける割にB級映画の悪役よりも“いかにも”な悪役。つーか、いじめに興じる不良つーか・・・・・・キャメロンよ、しっかりしろ!
3時間もあるんだからがんばってカーツ大佐(地獄の黙示録)、ロンゲーナ大佐(怒首領蜂)、スチュワート大佐(ダイハード2)並みの極悪非道すぎて息が出来なくなるような体育会系を用意しとけや!

*CG
CGによる自然環境の人口製造は難しいと本作にて確信。
本作のメカニック描写は3D効果もあいまって秀逸だったが、自然環境というのはいかんせん、いびつな物であり、なかなかキレイに纏まっていない。故に、人間の視角に纏まった綺麗に見える背景がボンボン連発することで、皮肉にも世界観のリアリティーが消失していってしまった感は否めない。