2009年2月12日木曜日

冷血バイオレンスマスク「銃弾のえじき」

駄作

主人公、デブリンは交通事故で大怪我を負い記憶を失う。記憶は戻らなかったが、看護婦と結婚し、新たな人生を謳歌していたのだが、かれには7年前の一家惨殺事件の犯人ではないかという疑惑が元警察官の老人を発端に取り巻いていく。

生活描写で登場人物を紹介するという理想には叶っているのだが、冒頭30分近くにそれを消耗する結果を生んでおり、おまけに軸となっているロマンス描写が中学生が書いたのかと疑うほど陳腐な代物である。しかし、事故でズタズタになった主人公の特殊メイクと周囲のシニナルな反応や、ヒロインの爛れた性生活など、妙なディティールが利いてるのは評価できる。

で、物語がようやった動き出す6年後、(残り上映時間約1時間)
犯人を執拗に探す警官は、既に退職していたのだが、もと部下曰く。
「あんたが辞めさせられたのは政治的な問題だ!」と、本筋に関係のない叫びを打ちかます。

まあ、はいはいと匿名の情報提供者があらわれてデブリンが7年前の一家惨殺事件の犯人ちゃうかと。
ともなれば、早速デブリンの裏を洗うのかと思いきや、あっさりとデブリンに自分の正体と、調査していた事件、主人公を疑っている事を暴露する。
もうちょっと一策練ってから記憶喪失だと確信してくれよ。ぜんぜん頑固じゃねえじゃん。退職後も彼を狙う執念と、その前の生活描写においても頑固さを発揮していたのに。

そいで、彼曰く
「情報提供者は匿名だった。送り主はきっと奴だ。デブリン本人だ! 彼は記憶喪失に陥ったが、心の中にまだ一家殺しの犯人が生きていて、新しい家族をまた殺したくない。 だから俺に止めてくれと、送ってきたのだ。」
辞職した刑事が今も事件の捜査を続けているのを記憶喪失の主人公が知っている筈が無いだろうがと、
こんな無能なの退職させられて当然だわ。

この時点で視聴者が予測しえる送り主は冒頭で爛れた関係を持っていたヒロインの元情事相手に限定された。

しかし物語りは唐突に登場したボンテージマスクの連続レイプ犯による強引な展開へと運ばれていき、犯人は結局主人公という、意外性のかけらが無さ過ぎて除外されたラストへとしゃあしゃあと運ばれて終わり。劇中、銃弾のえじきとなったのは射殺される主人公ただ一人である。